その学類Slack、本当に必要ですか

これは戦争を巻き起こす話題ですが、今回はSlackについて書き連ねたいと思います。

書いていてだいぶ長くなってしまった上に大した内容もない文章なので、Twitterを追うのにも飽きてきたつくばエクスプレスの車内なんかでお読みください。

そもそもSlackとは

Slackの公式ページの「Slackって何?」には次のように書いてあります。

Slack とは一連の業務の拠点となるデジタルワークスペースです。人々と組織、そしてツールをつなぐことで、作業効率を改善し、組織を活性化します。

詳しくは「Slackって何?」を読んでいただければいいのですが、要するにSlackは業務用に特化したコミュニケーションツールです。

大きな特徴は、1つのワークスペース(例えば「情報科学類新歓委員会」)の中に複数のチャンネル(例えば「宿舎入居支援班」「懇親会運営班」など)を持てること。これは会社の中に会議室がいくつかあるようなもの。この機能によって、会話が混ざり合わずに済みます。Slackは仕事をするのにはうってつけのツールと言えると思います。

他にも様々な優れた機能があるのですが、この投稿はSlackを紹介するのが目的ではないので、機能紹介は上記「Slackって何?」やこちらの「Slack使い方完全ガイド」に譲ることにします。

Slack大好き人間が考えること

私をはじめ、Slackを一度使いこんだ経験がある人は「なんて素晴らしいツールなんだ!」と目から鱗ボロボロ状態になります。そしてこう言うでしょう。あらゆる場面でSlackを使いたくなります。そして熱に浮かされたようにこう言うわけです。「クラスLINEをSlackに移行しよう」「学類のLINEをSlackに移行しよう」と。

しばしば起こるLINE vs Slack戦争

私の周りやTwitterのタイムラインでは、しばしばLINE vs Slack戦争が勃発します。LINEを使いたい人の言い分は「LINEで十分じゃないか、なぜSlackに移行するのか」というもの。一方Slackを使いたい人の言い分は「Slackは素晴らしいんだからSlackを使おうよ」というもの。

ここで私の立場を明らかにしますと、私は基本的にはクラスや学類にSlackを導入するのは反対という立場です。

私は筑波大学情報科学類17年度入学者の同級Slackチームを作って運営していますが、その上で、やはりクラス・学類のSlackは不要だったのではないか、という反省をしています。

(ただし、情報科学類はIT系の学類ですし、導入して悪かったとは思っていません。Slackチームを解散するつもりもありませんし、今後も管理していく所存です。)

Slackは意外なほどマイナー

あれほどSlackを褒め称えたのにクラスや学類にSlackを導入するのにはなぜ否定的なのか。

まず、Slackは未だそれほど一般的なツールであるとは言えないという点です。2016年のデータですが、以下の画像 を見ると2016年10月の時点でアクティブユーザー数(推定)は約8万ユーザー。(出典: 毎日400万人が利用する「Slack」、日本の利用状況は?)

Slack MAU 2016

一方、同時期のLINEのアクティブユーザー数は2016年の第4四半期で約6600万ユーザー。(出典: Number of monthly active LINE users in Japan as of 3rd quarter 2017 (in millions))

LINE MAU 2017

本来なら同じ出典元のデータで比較するべきなのでしょうが、この比較だけでも800倍以上の開きがあるのが分かります。

これだけLINEが浸透している日本で、仕事ではなく、かつそこそこ大人数が所属するコミニュティにあえてSlackを導入するメリットは果たしてあるでしょうか。これはズルい論説かもしれませんが、マジョリティはLINEユーザーです。もしSlackを導入することになったとしても、Slackは圧倒的マイノリティであることを自覚した上で丁寧に移行するのが大事と言えそうです。

Slackはコミュニティ外との連絡に弱すぎる

Slackはコミュニティを中心に設計されたツール、LINEは個人を主体に設計されたツールです。

同じコミュニティ内で話しているときはSlackもLINEも問題ないのですが、コミュニティ外の人に連絡を取る手段がSlackにはほとんどありません。

違うコミュニティの数名で連絡をとりたいとき、LINEでは誰か1人ずつが友だちになっていさえすればその場でグループを作って連絡を取ることができます。しかしSlackで同じことをやろうとすると、誰かがワークスペースを立ち上げ、招待URLを参加者に送信し、参加時には名前や表示名を登録してもらい…と非常に煩雑です。

Slackはハードルが高い

Slack未体験の人にSlackを使ってもらうには、まず当然Slackアプリをインストールしてもらう必要があります。今までLINEだけで生活できていたのに、新しくSlackをインストールするというのは若干抵抗があることでしょう。「無くてもどうにかなっていたアプリ」を新たにインストールしてもらうのはまず1つ大きなハードルです。

Slackは高機能ですが、その反面なかなかに複雑なアプリで、使いこなすにはそれなりに慣れが必要です。仕事で必要ならば機能を覚える気にもなりますが、仲間内のコミュニティにはオーバースペックかもしれません。通知1つを取ってみても、様々な設定があります。この設定をミスすると通知が一切来なくなったりもします。わざわざいろいろな設定を覚えるのは煩わしく、これもまたハードルとなるでしょう。

そのグループ、そんなに活発ですか?

Slackの特長の1つは先述の通り、議論が活発になっても話が混ざらないことです。これは言い換えるとSlackを効果的に使える前提条件は活発な議論(あるいは会話でもいいでしょうが)が行われているということです。

そもそもあまり活発ではないコミュニティにはSlackを導入するメリットが薄いです。#generalチャンネルと#randomチャンネルだけのワークスペース、しかもどちらも前の会話は1週間前…なんていうSlackチームはLINEで会話しても何の問題も生じないことが大多数ではないでしょうか。

まとめ

Slackはもともと業務用に作られたツールです。業務用ツールはおとなしく業務用目的で使うのが一番なのでは、というのが1つの結論です。(Slackをbetween代わりに使う異次元カップルなんていうのもこの世界には複数存在しますが、結婚式の2次会をGithub(エンジニアのプログラム共有サービス)で管理する人も存在する世の中なので気にしてはいけません)

確かにSlackは便利かもしれませんが、便利さと必要性はまた別次元の話です。コミュニケーションツールの移行というのはストレートに、大勢にコミュニケーションの方法を変えろという命令となり得ます。便利だからとゴリ押しするのではなく、便利さと負担をよく天秤にかけた上で判断するのが良いのではないでしょうか。

さいごに

これでおわります。